2022年に住宅ローン控除の改正案が発表されました。
そこで当記事では、「改正案が提出された背景」、「新築住宅」と「中古住宅」の改正内容について解説します。
住宅ローンを利用する方は、改正内容をよく理解しておきましょう。
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弊社へのお問い合わせはこちら2022年に住宅ローン控除の改正案が出された背景とは?
2022年に改正案が出された住宅ローン控除ですが、「なぜ改正が必要だったのか」、背景を確認していきましょう。
そもそも「住宅ローン控除」とは
住宅ローン控除とは、マイホームの購入で住宅ローンを利用している方のための「減税制度」です。
控除額は、年末時点のローン残高をもとに計算されます。
2021年までの住宅ローン控除額は、「住宅ローン残高の最大1%」で、所得税と住民税から控除されていました。
住宅ローン改正の背景①:「逆ザヤ」問題
改正案が提出された背景には、超低金利による「逆ザヤ」問題があります。
逆ザヤとは、ローンの支払い利息より控除額が上回ることです。
超低金利が続く現代では、住宅ローン控除により「逆ザヤ」が起こりやすくなっています。
また、超低金利の住宅ローンで借り入れ額が大きいほど逆ザヤになりやすく、富裕層が得をしやすい仕組みでした。
超低金利の住宅ローンを組むには、所得や信用力が安定している必要があるからです。
このことを背景に、「住宅ローン控除額の規模縮小」という形で改正案が提出される流れとなりました。
住宅ローン控除額の改正案:「1%から0.7%」へ
改正案では、控除率を「1%から0.7%」へ変更されることになりました。
とは言っても、「金利0.2%~0.4%」のローン商品がある現代で、逆ザヤ問題を完全に解決するのは難しい状態です。
住宅ローン改正の背景②:住宅需要の低下
2022年の改正案提出で、原則「10年」だった控除期間は、一定の要件を満たした場合「13年」に延長されます。
経済状況が悪化し、住宅需要の低下が懸念されることが改正案提出の背景にあります。
逆ザヤ問題と並行して、社会情勢とも向き合うことが求められているのです。
2022年改正案の内容は?「新築」の住宅ローン控除の場合
2022年に発表された住宅ローン控除の改正案について、「新築」の場合の変更点を確認していきましょう。
変更点①:控除率
上記でもご説明したとおり、控除率は「1%→0.7%」へと縮小されます。
控除率を下げることで、少しでも「逆ザヤ」問題を防ぐことが目的です。
2021年末が期限とされていた住宅ローン控除の制度ですが、改正後の新制度は2025年末までが期限となります。
そのため、しばらくは「0.7%」の控除率が適用されるのです。
控除額を正しく把握するためにも、控除率の変更と利率は忘れないようにしましょう。
変更点②:控除期間
2022年の改正案により、控除期間が「10年から13年」に延長されました。
2022年度も厳しい経済状況が予測されることから取られた対策です。
期間延長は、「新築住宅」もしくは「不動産業者が再販する消費課税住宅」のみが対象です。
中古住宅の場合には期間延長は適用されないので注意してください。
変更点③:控除の上限額
2022年の改正案により、住宅ローン控除の上限額が変更されました。
借り入れ限度額が「4,000万円から3,000万円」になったことで、最大控除額は「年間40万円から年間21万円」に変更されます。
借り入れ限度額は、2024年、2025年になるとさらに引き下がり、「2,000万円」です。
そうなると、最大控除額は「年間14万円」まで下がります。
ただし、今回の改正で注意したいのが「省エネ性能の有無」です。
控除の借り入れ限度額は、省エネ性能によって異なる
控除の借り入れ限度額は、省エネ性能が備わっているかどうかで大きく変わってきます。
省エネ基準を満たす住宅の場合には、借り入れ限度額は通常より高くなるのです。
認定住宅の場合
「認定住宅」の条件を満たしている場合、2022年~2023年の借り入れ限度額は「5,000万円」です。
2024年~2025年の借り入れ限度額は、「4,500万円」となります。
認定住宅とは、省エネやバリアフリーに特化した住宅です。
ZEH(ゼロエネルギーハウス)の場合
ZEH(ゼロエネルギーハウス)と呼ばれる省エネ住宅の場合、2022年~2023年の借り入れ限度額は「4,500万円」です。
2024年~2025年の借り入れ限度額は、「3,500万円」となります。
国の省エネ基準を満たす場合
国が定めている省エネ基準を満たす住宅の場合、2022年~2023年の借り入れ限度額は「4,000万円」です。
2024年~2025年の借り入れ限度額は「3,000万円」となります。
マンション含め、2019年度に新築された住宅の81%が国の省エネ基準を満たしています。
住宅ローンを組む前に、新居住宅が省エネ基準を満たすのか確認しておくと良いでしょう。
省エネ基準を満たしていれば、控除額引き下げの影響を抑えることができます。
変更点④:所得制限
2022年の改正案によって、所得制限の引き下げが決定しました。
今までの所得制限が「3,000万円以下」だったのに対し、改正後は「2,000万円以下」になります。
「改正案が提出された背景」でも解説したとおり、今までは富裕層が得をしやすい仕組みとなっていました。
所得制限を引き下げることで、今までの仕組みを根本から改正することが期待されます。
2022年改正案の内容は?「中古」の住宅ローン控除の場合
中古の住宅ローン控除の場合、改正案の内容が新築住宅とは異なります。
中古住宅の改正案について、ポイントを解説していきます。
ポイント①:控除率
控除率の変更は、新築住宅と同様で「1%から0.7%」へ変更されます。
控除率はどちらも「0.7%」と覚えておきましょう。
ポイント②:控除期間
新築住宅と中古住宅では、控除期間が異なります。
新築住宅の控除期間が「10年から13年」に延長されたのに対し、中古住宅の控除期間は「10年」のままです。
延長されたと勘違いしないよう注意しましょう。
ポイント③:借り入れ限度額
中古住宅の借り入れ限度額は、下記のとおりです。
認定住宅の場合(ZEH、省エネ基準を含む)
2022年~2025年の借り入れ限度額は「3,000万円」です。
一般住宅の場合
2022年~2025年の借り入れ限度額は「2,000万円」です。
どちらも新築住宅とは借り入れ限度額が異なるので、住宅ローン控除額の上限も変わります。
ポイント④:築年数要件の改正
中古住宅においては、住宅ローン控除を受けられる条件があります。
2021年までは、「築20年以内の木造住宅」および「築25年以内の非耐火構造住宅」が住宅ローン控除を受けられる条件でした。
上記の築年数を越える場合は、「耐震基準適合証明書」などの書類の提出が義務付けられていたのです。
2022年の改正案により、「昭和57年以降に建築された新耐震基準適合住宅」が適用範囲となり、書類の提出は不要になりました。
改正案が出されたことにより、中古住宅でも控除を受けやすくなったのです。
まとめ
以上、2022年度の税制改正における住宅ローン控除の改正案について解説しました。
「逆ザヤ」などの問題を背景に、規模縮小を目指した改正案であることが分かりました。
新築住宅と中古住宅で改正内容が異なるので、間違えないよう注意しましょう。
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