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不要な土地を放棄したいけど違法性はある?放棄の可否と寄付について

カテゴリ:相続・税金

不要な土地を放棄したいけど違法性はある?放棄の可否と寄付について

遺産の相続があり、そのなかに使う予定のない土地がある場合、どうすれば良いのでしょうか。
不要な土地は放棄してしまいたくても、その可否はしっかり考えなくてはいけません。
場合によっては違法性が認められることもあるため、この記事ではその解説と、売却や寄付などの他の手段のご提案をさせていただきます。

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不要な土地を放棄したいときの可否

不要な土地を放棄したいときの可否

相続した土地がまったく不要であると考えるなら、放棄したいと考えるのは当然のことかもしれません。
しかしそれには条件があり、その後も管理責任は生じるため、ただ放っておくことはできません。

遺産をすべて放棄することになる

不要な土地の相続を放棄することは可能ですが、その場合はすべての遺産を相続放棄することになります。
現金は必要だけど土地だけは不要、など遺産の一部のみを放棄することは認められていません。
また、遺産をすべて相続放棄するにしても手続きは必要となるため、見なかったふりはできません。
相続人全員が相続放棄して相続人がだれもいなくなった場合は、家庭裁判所に相続財産管理人の選任の申し立てをする必要がありますが、これには時間がかかることを覚えておきましょう。

所有している不要な土地放棄の可否

すでに相続かなにかで自分だけが所有している不要な土地を放棄することは、基本的にはできないと考えて良いでしょう。
この単独所有の土地を放棄が可能かどうかは民法によるところなのですが、実ははっきりした記載はありません。
もし放棄することができたら、放棄された土地は国の管理になります。
自分は土地を放棄した、と証明するためには登記の手続きが必要になりますが、それを国に求めるためには裁判所に訴えを起こすことになります。
しかし土地の所有を放棄し、国に移転登記手続きを求めた平成28年の裁判では、「土地の放棄は権利濫用にあたる」として否定されました。
そのため、資産価値が低い土地を放棄できる可能性は低いとみなされています。

土地を放棄しても管理義務はある

もしすべての相続を放棄したとしても、その瞬間に自分の手を完全に離れるわけではなく、一定の管理義務は生じます。
そのため、自分のものではなくなったとしてもそのままにしておくことはできません。

不要な土地を放棄することの違法性

不要な土地を放棄することの違法性

すでに所有している土地を法的に放棄するのは難しいことはお伝えしたとおりですが、それでもこっそり放棄してしまうことに違法性があるのか、気になる方もいらっしゃるでしょう。
実際に今まで放棄された土地が多く、国として大きな問題になっていますが、その対策として、今後はそうならないための法律が施行されます。

相続登記の義務化

「相続登記」とは、不動産を相続したときに、その不動産のもとの持ち主から、相続人へ不動産の登記を変更することを言います。
今までこの相続登記はあくまで任意だったため、不要な土地を相続した方は故意に相続登記せず、それによりそのまま放置された土地が増えてしまいました。
そこで2021年4月に「相続登記を義務化する」改正法案が可決され、2024年4月から施行予定となっています。
これ以降は相続登記が義務になるため、きちんと相続登記しないと罰則を受けることになります。
では2024年までに相続して登記せずにおけば良いのではないか、と思うかもしれませんが、すでに相続登記せず放棄されている土地でも同様に義務化の対象となります。
そのため、法律の施行前からしっかりと対策し、相続登記をおこなうことが大切です。
しかし相続登記の義務化は面倒なことだけでなく、義務化に合わせて登記の手続きを簡単にするように検討されています。
現在、相続登記は相続人全員の同意が必要で、揃える書類も多く、手間と時間がかかります。
しかし今後は自分が相続人であると証明すればとりあえず登記できるようにするため、法律の改正が進められています。
さらに、相続登記された土地を正式に放棄するための制度も検討されています。
建物がない、土壌汚染がない、管理に過分な費用を要さない、などの決まりがあるため、すべての土地ができるわけではありませんが、すべて該当していれば土地の所有権を放棄できます。
また、申請時の手数料と、国が10年間管理するのに標準的な費用(目安は200㎡で80万円ほど)を申請者が納付する必要があります。

相続登記しないとどうなるか

相続登記をしないと、罰則が科されるだけでなく、他にも困ったことが起こります。
なにもしないでいると、土地の所有権は亡くなった方のままになるため、世代をまたいで相続人が増え続けることになります。
遺産を誰の所有にするかは相続人全員で話し合う必要があるため、時間が経つほど相続人が増え、子どもや孫の世代に迷惑をかけることになります。
また、登記せずに放置しておくことで、相続人が認知症となるケースもあります。
認知症となってしまうと本人の代わりに成年後見人を選出する必要があり、時間と費用、大きな手間が生じます。
このようなことが起きないためにも、なるべく早いうちに相続登記をしたほうが良いでしょう。
相続登記後に売却するという手段もありますので、まずはお気軽にご相談ください。

不要な土地を放棄したいなら寄付も検討する

不要な土地を放棄したいなら寄付も検討する

土地を登記したうえで、その土地が売却できないとはっきりした場合には、寄付するという手段もあります。
所有しているだけで管理の手間と固定資産税の支払いが必要となるため、一度検討してみましょう。

国や自治体に寄付する

寄付する先は国、自治体などがありますが、まず国が寄付を受け入れてくれることはほとんどありません。
国立大学や病院、道路を作る予定の場所以外の土地は基本的に国が買い取ったり寄付を受けたりすることはありません。
次に自治体の場合ですが、こちらも自治体にとっての利用価値がある土地でない限りは受け付けてくれないかもしれません。
なぜなら、土地を所有していると払う必要のある固定資産税は自治体にとっての大きな収入源であるため、その収入のほうを重視することが多いのです。
しかしもし自治体に寄付できれば、贈与税などを支払う必要もなく手放すことができるため、一度問い合わせてみると良いでしょう。

自治体に寄付する際の手順

自治体に放棄したい土地を寄付するなら、まずは担当窓口に相談に行きます。
すると自治体の担当部署が土地の調査をおこなったうえで、受け付けるか断るかのどちらかを判断します。
審査に通れば必要書類をそろえて提出するのですが、必要書類は自治体によって異なり、準備に時間がかかる書類もあるため、事前に確認しておくと良いですね。

個人に寄付する

隣接する土地の所有者など、お持ちの土地を有効活用できそうな方がいれば寄付を申し出てみる価値はあります。
ただしたとえ無償で寄付したとしても、個人相手に土地を渡すと贈与税がかかります。
もし親族に寄付した場合は減税できることもあります。

法人に寄付する

企業や学校、NPO法人などに寄付することも考えられます。
法人に寄付する際には、所有権移転登記費用がかかる場合があります。
所有権移転登記は一般的に司法書士に依頼しますが、登記時に支払う登録免許税と、司法書士への報酬を合わせると数千円~数万円ほどの費用が必要になります。
不動産売買とは違い、この費用の負担金額は双方で話し合って決めます。

まとめ

不要な土地を放棄することの可否と、違法性、また寄付についてもご説明しました。
放棄したい土地があっても、かんたんに手放せないこともあります。
土地でお困りのことがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

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